肺がんの現状について
日本において、がんは2人に1人にみつかり、さらにがんが原因で3人に1人が亡くなっている状況です。そのなかでも肺がんの年間の死亡数は最も多く(部位で分けると男性で1位、女性で2位、男女の合計で1位)、がんの中でも生存率の低い病気であるといわれています。だからこそ自覚症状のない早い段階で発見することで治療の選択肢を増やし、完治することを目指していく必要があります。
胸部X線(レントゲン)検査とCT検査
胸部X線(レントゲン)検査は費用負担も少なく簡単に行える検査ですが、早期のがん(小さな病変)を見つけるには限界があります。その理由の一つとして肺が他の臓器(心臓や血管、横隔膜など)と重なる部分があるので検出が困難です。
CT検査では他の臓器との重なっている部分も観察でき、小さい病変も詳しく評価できるので、従来の胸部X線検査と比較して、より小さく、より早い段階でがんを発見できます。
その分、CTはX線検査と比べ、放射線被ばくが増えることがデメリットです。
肺がん検診
一般的な肺がん検診は胸部X線検査、肺がんのリスクが高い方には胸部X線検査+喀痰細胞診検査の両方を実施します。しかしながら、早期の肺がんを胸部X線で見つける事は困難で、CT検査が、肺がんの早期発見にその威力を発揮することが国内外の研究で報告されております。胸部CT検査によって肺がんを発見できる確率は、胸部X線検査の約10倍にものぼるといわれており、さらに発見された肺がんは早期がんの割合が高く、その治療成績も良好であることが知られています。そして、米国の報告では胸部X線での検診群に比べ低線量CTによる検診群の肺がん死亡率が約20%減少し、総死亡(肺がん以外の原因も含めた死亡)も6.7%減少したことが報告されています。
日本肺癌学会は2022年7月に『肺がん検診ガイドライン』を改訂し、その中で『「重喫煙者に対する低線量胸部CTを用いた肺がん検診」は、死亡率減少効果を示す証拠があるの で、行うよう勧められる。(グレードA)』と位置付けています。
低線量肺がんCT検診
低線量CTでは、放射線被ばく線量を減らすため、通常のCT検査より照射線量を低減させて撮影を行います。
メリット
- より小さく、より早い段階でがんを発見することが可能です。
→肺がんが早く発見されることにより、有効な治療を受け、完治の可能性が高まります。 - 通常のCTより低被ばくであり、大幅に少ない線量で撮影可能です。
デメリット
- 自費での検査のみの取り扱いです。
- 「肺がんを見つける為の検査」であり、肺以外の異常については、通常のCT検査と比べて見つかりにくい場合があります。
→低線量のため、画像の質は通常のCT検査に比べてやや劣ります。 - 詳しい画像のため、肺がん以外の何らかの ”異常な陰影”が見つかることがあります。
→その際は、肺がんと非常に紛らわしいものもありますので、詳細な精密検査や定期的な経過観察が必要となる場合があります。
こんな方におすすめ
胸部CT検査による肺がん検診は、特に以下の方におすすめします。
- 肺がんの既往歴がある近親者がいる方
- 長年喫煙されている方(禁煙された方を含む)
- 40歳以上の方
- 喫煙するご家族がいる方
- 肺がんが心配な方
検査の流れ
STEP1. 問診により、CT検査が可能であることを確認します。
STEP2. 上着を脱いでいただき、検査着に着替えていただきます。
STEP3. CT撮影を行います。
STEP4. 後日、検査結果についてご説明します。(日本呼吸器学会専門医・指導医であり、肺がんCT検診認定医の院長が画像を確認した上でご説明いたします。)
注意事項
検査について
・検診ですので、自費診療扱いとなります。
・事前のお食事の制限などはありません。
・ご予約をされた上で受診されることをおすすめします。
※ご予約なしでの受診も可能ですが、込み具合によっては長時間お待ちいただくことがございます。